キット雑感:IBG #35025『Skoda 100mm vz 14/19』& #35028『Obice da 100/17 Mod.16』
原型砲はシュコダ社が1914年にオーストリア・ハンガリー帝国の為に開発した・・・とかいった解説は取り敢えず英語版のwikiにでも任せておいて、早速共通ランナーから見ていきましょう。
二つのキットに共通するAランナーとBランナー、当然ながら砲架の大部分にあたります。モノが大砲だけにどうしてもメカニカルな部分で細かいパーツが出ますが、程良く分割されていると思います。ただし、
こういった細かいパーツに無造作なパーティングラインが入ってるのは文句を言っても致し方無いレベル。みっちり入っているので淡々と消して行きましょう。私は模型工作の7割はパーライン消し、と二十八珊砲の時に改めて悟ったので余り気にしません気にしても始まりません。でも取っ手類は例によって真鍮線で作り直した方がベターですかね。
防楯は程良い厚み。押し出しピン跡もありませんし、細かいリベットのモールドなんかもついてますので、出来の良いPE製のアフターパーツでも出ない限り自前で作り直す必要はなさそうです。フェンダーに当たる部分は縁に折り返しが付いている様なので、やはりそのままでも良いかな。
防楯についてる座席の座板。う~ん、これはどうでしょうね。折れ曲り部分でことさらパーツの厚みが誇張されてしまうので流石になんとかしたいかな、っていうかなんとかできればグッと印象が良くなりそうです。あー、そう考えると出来の良いアフターのPEセット欲しいかも。でもアイテム的にどこも手を出さなさそうですね。こういう時に自前のPEが作れると理想的ですな。
続いて個別のパーツです。まずは #35025『Skoda 100mm vz 14/19』(以下、14/19)の方から。
Dランナーが木製スポークホイール、Gランナーが砲身と駐退機の一部、そしてアルミの挽き物砲身です。
このキット、パーツに付き出しピン跡は無いと思ってもらって大丈夫ですが、ヒケは何箇所かにバッチリ入っています┐(´д`)┌。そういうもんだと割り切って埋めましょう。
砲身はプラ製モナカパーツと挽き物の二本が入っていて好きな砲を選べ、という事のようですが普通は挽き物を使いますわな。挽き物にはライフリングも刻んであります。ただどうでしょう、このスケールでこのサイズの砲にこうクッキリハッキリ刻まれると、ちょっとオーバースケールな気もしないではありません。あとこのライフリング、砲口から覗くと穴の奥に溝を削ったカスが盛大に残って見えるのは流石にどうよ(・_・)....?。
さらに、この文の推敲しながらネットで実砲の写真を見ていてふと感じたのですが、砲身の太い部分と細い部分の長さの比率が微妙に違うような。もう少し先端の細い部分は長いような(=砲身長が正確だとすれば太部分がもう少し後退した方がよい)気がします
。加えてキットパーツだと太部分にもテーパーが付いてるんですけど、実砲はそうか?という気が。むむむ、気が付かないで良い事に気が付いてしまったかも。もし勘が当たっていれば、挽き物砲身は却って厄介かもしれませんね。プラパーツの方を加工して、砲口だけ挽き物を移植する?アルミだからできなくはないかな。ただし以上はあくまでパッと見の話で、正横からの写真を元に精査した訳ではないので後は各自の判断にお任せします。
次に#35028『Obice da 100/17 Mod.16』(以下、da100/17)のパーツ。
防楯とタイヤ他のEランナーと砲身のHランナー。パーツの構成は14/19ほぼ同じですが、径の小さい空気タイヤに変わって機械牽引対応になった事と、それに合わせて防楯も変更になった点で大分印象を違えています。また砲身も段の無い1ピースモノに変更になってるようですが、これはイタリア製のライセンス版砲身と考えてよいのでしょうか?ライフリングは14/19と全く同じです。あ、このda100/17の砲身パーツを加工して14/19に回すのも手かなぁ・・・。
タイヤはやはり若干雑なイメージ。このあたり、いつものIBG。こういうパーツはアイテムに関係なく他社のソフトスキンキットなんかと比較できてしまえる(例えばミニアートのGAZとか)だけにちょっと辛い所ですね。しかしアフターでレジンタイヤが出る可能性は殆ど無きに等しいのであった(←決めつけ)。
コッチの防楯は気持ちやや厚く(実測0.7㎜)形も単純なので0.3mmプラ板あたりで作り直してみても良いかも。スケールに厳密ならもっとペラいのでしょうが、あまり薄くし過ぎると装甲板の雰囲気が無くなっちゃうのでその辺は塩梅ですね。
とまぁこんな感じで、実際組んでみればまたアレコレ出てくるかもしれませんが、プラモデルとしては十分及第点には達しているかと思います。IBGの常としてそれなりに“シッカリした”モールド表現なので、薄い細いも“そこそこ”ですから、後は実砲を見ながら薄い所は薄く、細い所は細く、を各自の好みに応じて追及するだけかと思います(砲身の件はもうちょっと検討するとして)。個人的には予定されてる残り2種(素の14と独軍仕様)も一応買っとくかな、と。なんにせよ「IBGだから」ということで過度に期待しない事、コレ大事です(^-^;。「タミヤのような組み易さ」や「ミニアートの様な再現性」を求めるのは端からお門違いなので、ソコさえ間違えなければお勧め。ウチの押し入れを漁ったらエマーの独軍76㎜とかトム名義のシュナイダーが出てくる筈なんですが、当然アレらよりは良く出来とると思います。そういや新金型のシュナイダーや、いっそディッケ・ベルタなんかも欲しくなってきますね、こうなってくると。前者はサン・シャモンのパーツ流用でTakomが直ぐにでもやりそうですが。
補記1
後から気が付いたんですけどda100/17は伊軍お馴染みガントラックの備砲になって砂漠の戦場にも出てましたね。以前クリルーが出してたはずですが持ってないし今更そんなもん探して買おうという気も無いので、ついでに出さないかなぁ、IBG。
補記2
折角の100周年なのでこんな本を買って読んでおります。
別宮暖朗『第一次大戦陸戦史』並木書房。ざっくりしか把握してない一次大戦の流れをもうちょっと詳しく知っておこうかと。あるいは「MCあ○しず」だけじゃ流石にアレだから、とも言う(*^-^)。しかしなんですな、ルーデンドルフってのはやっぱり言う程キレ者でもない印象ですな。最後は負け戦の総大将なんだから当たり前か。
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コメント
ふむーん。
いろいろと手を入れる必要はありそうですが、想像していたよりはずっとよさそうです。
うーん、やっぱり買っちゃうかも。
投稿: かば◎ | 2014年6月22日 (日) 20時40分
基本的に「手の入れ甲斐はある」メーカーですからねぇ。
ココで取り上げてる先行2種はヨドバシのHPあたりでも残少になってますから買うなら急いだ方が良いかも。後で出る独軍使用は色以外一体何が独軍仕様なのかよく判りませんが、箱絵から察するに形式違いの車輪が付くみたいですね。
投稿: hide | 2014年6月23日 (月) 13時27分
Obice da 100/17 Mod.16は敬愛する「大フィンランド帝国」でも使用して
おりますので「すんげぇ興味があります」ので続編を楽しみにしておりますね♪
投稿: ホワイトタイガー | 2014年6月23日 (月) 19時23分
→ホワイトタイガーさん
フィンランド軍も使ってましたか~、使ってても全然不思議はないですが。引っ張らせるとしたらコムソモーレツ?はちょっともったいない気も(トラックで十分かな)。
そうなると4種買っても、オリジナル墺洪軍・伊軍・波軍・芬軍で売切れますな。や、コレに関しては流石にわざわざ独軍仕様にしようとは思いませんね。
投稿: hide | 2014年6月24日 (火) 22時39分
ポーランドは1939年時点で、どうやら900門も使っていたようです。
投稿: かば◎ | 2014年6月25日 (水) 10時56分
→かば◎さん
>900門
確認してみたら75mm M1897に次ぐ主力野砲ですね。
そういえばウチにある戦マガ時代の別冊「初の電撃戦ポーランド」の最後の方のページに載ってる
ズラッと並んでドナドナされる大砲の山の写真が丁度このシュコダ100mmでした。
しかしよくよく考えるとこの砲、緑に塗っとけば何処仕様でも通用しそうな。
『○軍仕様100㎜榴弾砲(○の中にはお好きな文字を入れて下さい)』とかw。
ちゃんと区別をつける為には
1.一目でそれと判るよう考証のしっかりした軍装を再現した砲兵のフィギュアを添える、か
2.車種ないし国籍標識等のマーキングでそれと判る牽引車(あるいは馬とリンバー)を添える、か
3.中・東欧各国軍の使う「濃緑」の色調の違いを検証し、その上で色味で区別してもらえるようにその知見を普及する、か
のいずれかの方法でしょうか。どれも敷居高っ!
投稿: hide | 2014年6月25日 (水) 18時56分
ポーランド軍の場合は、野砲でも独特の3色迷彩で塗られていることがあって、75mm M1897の場合はそれが確認できる例があるのですが、シュコダのほうはどうかなあ……。
しかしそれ以前に、どうやらポーランドのシュコダ100mmは、あのお茶目なフェンダーを外している場合が多いようです。ちょっとがっかり。しかしその一方で、車輌牽引用(C4Pハーフトラックで牽引)に、ごっついゴムタイヤに履き替えている例もあるようで、これはこれでなかなか惹かれるものが……。
投稿: かば◎ | 2014年6月25日 (水) 23時16分
かば◎さん
>ごっついゴムタイヤ
写真を漁って確認してみましたが、まずは独軍仕様として出る予定のキットについてるモノとは違うタイプの様ですね。で、TOMの75mm野砲にコレと似たようなタイヤ付のバージョンがあって、もしかしたら転用が効くのかも。牽引車その物をどこから持ってくるか、というのはまた別の問題としても、確かに木製スポークだと絡めるのが難しいですもんね。
投稿: hide | 2014年6月27日 (金) 18時21分
>>TOMの75mm野砲にコレと似たようなタイヤ付のバージョンがあって
持ってます……。あのキット、レジンのポーランド軍ゴムタイヤ入り版と、プラのフランス軍ゴムタイヤ入り版があったような。そして両方持っているような(そしてもちろん木製スポークも)。
……あんな手の入れ甲斐のあるキットをこの先の人生で3つも作ることがあるだろうか。
実はwz..34/C4Pハーフトラックもキットを持っていたりするのですが、残念ながら砲牽引タイプではなかった気がします。
投稿: かば◎ | 2014年6月28日 (土) 01時08分
私はその手の古キットで未だ手元に残ってるものは廃プラ材として活用する方向で割り切りましたよ。RPMのFTは極小サイズリベットの供給源兼プラ板片の集まり、とか。もうMENG買っちゃってますしねぇ。TOMの75㎜も遅かれ早かれそうなると思いますが、ホイールとか流用価値のあるパーツが在るだけまだまだマシかと(あ、RPMの丸砲塔はとってあります。この先MENGが内臓抜き廉価版丸砲塔を出さない場合の保険として)。
>残念ながら砲牽引タイプではなかった気がします。
S-Modelのキットでしょうか。砲兵用は後ろが座席なんですね。Jadarで確認しましたが、C4Pで検索したらポーランド仕様のボフォースも出てますね。
投稿: hide | 2014年6月28日 (土) 21時39分
「S-model」だけで検索したら、ポーランドの模型メーカーではなくてアダルトビデオばっかり引っ掛かって来ましたよ(とほほ)。
S-modelのキットは、wz.34ハーフトラックおよびC4Pの初期型・後期型で3バリエーション出ていると思うのですが、私のは荷台が長いwz.34ハーフトラックです。どうにも難物そうなキットで……作る日は来るのか?
ちなみに、S-modelのボフォース40mmは、C2Pとセットになっているものを持っていますが、全然ポーランド型じゃありません(笑)。2座席しかないし、形態としては、初期のイギリス型という感じかと思います。単体売りのほうも、写真を見る限りでは同じではないかなあ。
投稿: かば◎ | 2014年6月30日 (月) 21時21分
>アダルトビデオばっかり引っ掛かって来ましたよ
( ^ω^)思わず検索しちゃったじゃないですかw
>S-modelのボフォース40mm
そうそう、一緒にそれも検索に出てきて、あれー何でホイール6つ孔?とか思ったのですが、波蘭型になってないんですか、地元のくせに?
実はだんだん気になってきて、あれからAクの英軍用MkIIIも買ってみたんですが、防盾と照準器以外は独軍用と変わらないみたいで、ああ、つまり「III」ってのは英軍アイテムにありがちなアップデート版の型番か、と勝手に納得しました。こうなると同じAクの米軍用とブロンコのカナダ製も比べてみたくなりますね。
投稿: hide | 2014年7月 2日 (水) 17時37分
>>防盾と照準器以外は独軍用と変わらないみたい
ありゃりゃ。少なくとも電動で椅子2つになっているのかと思いましたが、違いましたか。
あとは、ホイールが確か段無し8孔タイプですよね。あれはオリジナルのスウェーデン製にもある形で、輸出先によってはあのタイプなので気になっています。
投稿: かば◎ | 2014年7月 3日 (木) 21時44分
アイヤー、言われて確認し直したら確かに座席数もホイールも違ってました(汗。砲架の形が同じ角リベットだったのでてっきり思い込んでましたよ。コリャ責任とっていよいよ残りも買って比較記事にするしかありませんね…ブロンコの35(t)の後で。
投稿: hide | 2014年7月 4日 (金) 00時08分