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2013年3月11日 (月)

Ⅳ号戦車の転輪に関する傾向と対策:後期型編

 やっと重箱の隅突き記事ございます。思えばこういう話を書く為に(住友さん所のBBSとかに長々書いたりできないので)このブログを立ち上げたのでした。決してメイド・フィギュア紹介ブログじゃないんだ!(笑。あ、もちろん全世界で私が初めて発見した、なんてこと言うつもりはありませんので、既出乙とか思ってもソコは大目にお願いします。(3/12引用文献等追加)

 最初に私のブログでの呼称を統一しとこうと思います。ゴム幅75㎜の転輪は前期型、ゴム幅90㎜の転輪は後期型、これは原則ホイール本体+ゴムタイヤの部分だけを指す事にして別途、初期型・中期型・後期型のハブキャップが組み合わさる、という事にしておきます。

 まずはこのサイトこのサイトをご参照あれ。前者はムンスターのⅣ号駆逐戦車Oシリーズの転輪、後者はソミュールのメーベルワーゲンの転輪。いずれも後期型90mm転輪と前期型75mm転輪が並んで納まった写真で、両者の違いが良く判ります。後者、ミシリンの方はゴムタイヤのサイズについて議論していますが、そこでも触れられている通り、ドイツ戦車のゴムタイヤのサイズ表記における幅の値はあくまで最大幅を記したもの。議論の中にも出てくるモデルアートのフォトブックvol.5には、アバディーンでG型の幅広転輪に直接モノサシを乗っけた写真がありまして、接地面の幅はおよそ70mmです[1]。また上の二つのサイトの写真をプリントアウトして、定規を当てて接地面幅の比を出すと、いずれもおよそ7対5でした。他にこの部分の値を明記した資料は手元に見当たりませんでしたし、直接自分で測りに行くというのもままなりませんから、一先ず前期型ゴムタイヤ「470/75-359」の接地幅は50mm、後期型ゴムタイヤ「470/90-359」の接地幅は70mm、と仮定して、上述のⅣ駆Oとメーベルの転輪断面図を作図してみましたの図。

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 基本的にはモーターブーフに載っているドイルの描いた図[2]をベースに若干手直ししています。ゴムタイヤ自身に印字されている寸法とフォトブックの写真から読み取れる値(接地幅70㎜に加えて外輪ゴムの外端から内輪ゴムの外端までがおよそ21㎝[1])を基準としつつ、構造はカナダのヴィルベルヴィンドの写真(丁度旨くゴムが破断した破損転輪が付いている)も参考にしています。なるべく実車パーツに即したプロポーションを心がけたつもりですが、一部プラモのパーツから逆算した部分もありますし、プレス部分の傾斜角なんて適当なので、あくまでイメージ図程度ということをあらかじめお断りしておきます。
 

 ココから先は本日の記事の本題である後期型転輪の話に絞ります。実車パーツの構造を参考にドイルの図面から改変しているのは、直接ゴムタイヤと結合しているリムAの形状です。リムAはプレスパーツCと結合するリムBよりも突出します。ゴムタイヤとのかみ合わせはドイルが3本で描いていますが、ヴィルベルの写真から4本としました。ただし一番外寄りにもう一本あるかもしれません。また私の図だとゴムの断面の台形が割とテーパーきつい目ですが、実際はもう少しテーパーの緩い、長方形に近い形状だと思います。これは実車のゴムの最厚部分である一番内径寄りの部分が急に太くなっているせいで、ホントはもう少し、急にぷくっと膨らんだような断面形になるように思います。
 言うまでもなくこんな図を描いた理由は、1月22日のエントリーに記した各プラモメーカーのパーツのどれが一番妥当かを検証する為です。まず上のⅣ駆Oとメーベルの写真から、後期型転輪は40cm履帯の中央部分、左右の穴に挟まれたプレート部分をほぼぴったり踏んでいる事が判りますので、全体の厚みがやや薄いトライスター以下のパーツは少なくとも後期型転輪としては却下し、DML/タミヤ/AFVの三社に絞ります。その上で三社の転輪を履帯の上に載せてみましょう。

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 履帯はカステンのSK-23です。極僅かな差ですがタミヤの転輪は踏んでいる幅が狭い事に気が付きます。

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 各社のパーツ断面を図に示します。実際のパーツよりも差異をやや誇張して描いている点をお断りしておきます。三社のパーツの基本的な相違は、タミヤとDMLがゴムタイヤ・ホイール一体成型なのに対し、AFVは分割されている点です。この事はパーツの仕上がり寸法に地味に効いてくるようです。タミヤとAFVのゴム接地幅は約2㎜で実はこの点だけみると正確です(前回の記事はネタ振りがちょっと露骨でしたw)。ただしタミヤのパーツでは、一体成型に伴い本来なら在る筈のゴムタイヤとリムBとの隙間を無かった事にしており、その分だけ僅かに二本のゴムタイヤが寄っています。コレが上の写真~僅かにタミヤの幅が狭くなっている原因だと判断しました。一方、DMLの転輪も同じく一体成型化に伴ってゴム部のテーパーとホイールが作る筈の隙間を無かった事にしていますが、タミヤが全体の幅を詰めて隙間そのものを消し去ったのに対し、DMLでは隙間をゴムタイヤに吸収しています。その分だけ、ゴムの厚みが若干厚い、でも転輪全体の外寸はほぼ正確、という事になったようです。残るAFVは、別パーツなのでゴム接地幅は実車の値を維持しつつ、全体の外寸もなるべく狂わない様に処理してあります。これだけなら一番良さげなのですが、ただしゴムタイヤ断面のテーパーが殆ど無いために最厚幅値90㎜=1/35換算で2.57㎜が無かった事にされており(ノギスで測って強いていうなら470/75-359って感じで、これでは前期型と一緒やがな)、かつリムA・Bとゴムがほぼツライチに近いので、その分の辻褄を合せるために履帯センターガイドが通る隙間が若干広い+リムBが前二社よりわずかに厚いようです。
 以上を踏まえると
①タミヤは接地幅は正確だが、それを優先して一体成型したため転輪全体の幅が微妙に詰まっている。
②DMLは転輪全体の幅は正確だが、それを優先して一体成型したため接地幅が若干厚い。
③AFVクラブはどちらかというと外寸が一番実車に近しい。ただしゴムタイヤのテーパーが緩い分、本来のリムが突出している表現が弱い
という事になるでしょうか。こうして検証してみると、各メーカーの設計担当者が何を取捨選択して設計したかがなんとなく判るようで面白いですね。
 では実際のモデル製作においてはどれを採用するのが妥当でしょうか、という話になる訳ですが、結論から言うとDMLにしました。一つには、仮に修正するとしたら一番楽であるということ。タミヤの全体幅を修正しようと思っても、安易に中央でスペーサーをかますと全体のプロポーションが狂うだけで、下手すると昔の旧タミヤⅣ号の転輪みたいになっちゃいますw。AFVを修正する場合は極薄くて細いリムの出っ張りをリング状にプラペーパーあたりから切り出して接着・・・それを16個プラスアルファなんて考えただけで頭が痛いですね。もしくは折角別パーツなんだからゴムリングの厚みを少し削るかリムBの厚みを少し削いでリムが突出するように細工すれば・・・いやいや、そうしたらタミヤの転輪と同じになるだけだ。
 DMLをチョイスするもう一つの理由として、F型以降の後期Ⅳ号が自分の中ではDML一択である以上、その純正パーツが使える事が一番自然だということがあります。まぁそう言ってしまえば先に結論ありきじゃん、となるんですけど(^-^;。AFVクラブの製品は入手性がイマイチ良くなさそうなので、長い目で見て使い続け辛いというのは事実だと思います。タミヤの転輪がDML以上に正確無比な寸法ならアフターサービスでまとめ買いするんですけどねぇ。

 という訳で一気にDMLの転輪の修正にまで話を進めます。様はゴムの肉厚を若干削ぎ落してやればよい訳で。

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 まず内側からBMCタガネの1.0辺りでこりこり削ってやります。接地幅が2㎜近くになれば良し。気持ち、テーパーを付けてやります。

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 厚手のプラ板にリム部直径相当の穴を開け、同じ大きさの穴をあけた600番の水ペーパーを貼ったものを用意(画像の下に敷いてるもの)し、タガネで削った跡を均したら、次にBMCタガネのゼロ番など、極薄の筋掘り工具でリムBとゴムタイヤの間の隙間を彫ります。これで実車の転輪の、いかにもホイールにゴムタイヤをはめ込みました感も一緒に演出できます。塗装の時に多少埋まるので、若干大げさな位に彫ってよいでしょう。

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 最後に毛羽立ちを除く為にSセメントを軽く流してやって完成。画像右が処理前、左が処理済のものです。ゴムタイヤの接地幅を修正しつつ構造上の情報量も増やせたと思いますがどうでしょう。パッと見にはわずかな差異ですが、それでもこの角度から見ると判りやすいと思います。実はこの処理、ボギーに組み込む16個分の転輪では、見る角度がある程度限定される為にあまり効果がありません。ただ、予備転輪は上画像の向きから見えるので、効果的だと判断します。なんなら予備だけやってみるのもアリかも。あと、ゴムとホイールは誤魔化さずにキチンと塗りわけたい派(私もそうです)にとっては、元の状態よりは塗り分けやすくなっているという副次効果も期待できるハズです。思えば前期Ⅳ号のウナギ・ウナギ改シリーズではゴムを別パーツ化していたDMLですが、ユーザーの評判が悪かったのか後期Ⅳ号では一体にしました。しかし実車同様の細かいパーツ割というのは、見方を変えればそれなりに有意義だと思うのですが・・・やっぱダメ?

 ともあれ、以上ココまでウチのD型には全然関係のない話でした(*^-^)。転輪のディテールに関してはもう一つ、「ゴム縁のパーティングラインをそのまま生かして実車のゴムタイヤのパーティングラインってことにしちゃう」というのが最近はありますが、私は否定的です。その事についてはまた日を改めて触れることにして、次の予定はようやくD型に関わる前期型75㎜転輪についての予定です。

引用文献

[1]『AFVスーパーディテールフォトブックvol.5 Ⅳ号戦車F2/G型』モデルアート社 2007 p71

[2] Walter J.Spielberger, Hilary Louis Doyle, Thomas L. Jentz『Panzerkampfwagen IV and its variants 1935-1945 Book2』Schiffer Publishing 2011 p302

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コメント

お疲れ様です。
うーん。このページはそのままローカルに保存したくなってしまいますね。いや、整理が難しいんで、しませんけれども。

ドラゴン転輪の追加工作、機会があれば予備転輪でやってみたいと思います。

一つ、前記型・後期型の断面図で気になるのは、後期型では前記型に比べ、プレスパーツCに対するリムBの突出が大きい(III号の転輪と似たような感じで)のが表現されていないことですが、そこがポイントではないので簡単に済ませているためかと思います。

もう一つ、実車写真のほうで「あれ?」と思ったのですが、かつてどこかの記事で、「前期型は後期型に比べ転輪が薄いぶん、中央ハブが突出しているように見える」と読んだような記憶があるんですが……この写真を見ると、プレスパーツCに対するハブの位置、ほとんど変わりがないですね。あれれれれ。

投稿: かば◎ | 2013年3月14日 (木) 01時01分

かば◎さん

コメありがとうございます。
改めて写真で拡大すると、我ながらやっぱフリーハンドはヨレてイカンですね。
横着せずに簡単な治具位は用意したほうがいいかもしれません。

>リムBの突出が大きい
確かに。この辺はご指摘の通り今回は本筋とあまり関係ないんで気にせず適当にやっちゃってました。ドイルの断面図も実は前期と後期でその部分には差が無いんですが、それに引きずられてた部分もあるかも。
upした後、別の資料でリムAの食い込み用のホゾはやっぱり5本かな~という気もしてきたので、その辺りも込みで次回の記事で改定したいと思います。

それに、

>実車写真のほうで「あれ?」

ふふふ、その辺りは次回の記事の核心部分であります。ズバリ「前期型転輪って、ホントの所は何種類あんのよ?」
その検証のためにもいくつかまた図を描き足します。

投稿: hide | 2013年3月14日 (木) 12時09分

> その辺りは次回の記事の核心部分であります。

おお。それは楽しみです。

あっ。そういえば第7師団だったかのG型で、初期・後期の転輪を混ぜ履きしている割と有名な写真では、初期型転輪のハブが確かに出っ張っていたような。あれれれれれれ?

投稿: かば◎ | 2013年3月14日 (木) 19時59分

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