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2012年7月16日 (月)

キット雑感:サイバーホビー #6761『Sd.Kfz.3a マウルティア』

 高品質な白箱ブリッツのバリエーションとして、古いイタレリ製品のリニューアルキットとして、問題なのは出るかどうかではなく白か緑かだ!こちとらこれを見越してイタレリ製はとっくの昔に処分しちまったんだぜ!なサイバーホビーというかDML製オペル・マウルティアでしたが、無事緑箱として発売されました。やっぱりキャタピラ履いてると華がありますからね。ところが蓋を開けてみると、これがまた何とも首を傾げる結果に・・・

 

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 まずは普通にレヴューします。基本的に白箱ブリッツに追加パーツをセットした商品なので、ランナーの紹介はその追加分のみにしますが、

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 新たに起こされたフレームを中心としたシャーシパーツのHランナー。

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 装軌部分の各動輪類とエンジン等を収めたJ(上二枚)とK(下二枚)ランナー。新規に起こされたインジェクションパーツは意外にあっさりこれだけです。他は白箱ブリッツからキャビンと前サス、荷台、タイヤ、及びそれらの細部パーツが引き継がれた構成になっています。

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 荷台の後ろに付く泥除けなどのPEパーツとデカール。ブリッツのロゴは白箱の場合二分割されていましたが、今回は一体になっています。マウルティアの場合は(恐らく)生産時期によって付いたり付かなかったりするので、製作する個体に合わせてチョイスします。デカールのデカい数字は操縦訓練校でまとめて撮影された写真がNuts&Bolts 28に掲載されており、そこからのチョイス。

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 気になる所をピックアップしてみます。転輪は仙波堂の紹介にも取り上げられていましたが、リム部との接合の隙間に空いた穴もきちんと貫通した造りで、あ~ようやくまともな転輪をセットしたキットが出たんだなぁ、という感慨に浸れます。もうコレだけでもイタレリのキットはお役御免。

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 白箱の時点で特に問題が無かったハズのエンジンが新たに造り起こされていて不思議に思いましたが、一つはオイルパンのディテールをより緻密にするために三分割にしたかったのかもしれません。右はキットに不要部品として入っている白箱ブリッツの“二分割”エンジン。もしその為にわざわざ造り直したとするならば、DMLの本気度には素直に賛辞を贈るほかないでしょう。

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 一方で造り直されたフレームの、エンジンが取り付く辺りのディテールが変化していて、エンジンの造り直しはコレに合わせた処置かもしれません(画像は裏表が一致していない点をご容赦下さい)。この変化、放熱スリットなどの付いたプレートの有無がブリッツとマウルティアの差異なのか、あるいは3tブリッツシリーズの生産時期を反映したものなのかは、現時点では未確認です。

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 ユニバーサルキャリアーを模倣した後部サスペンション。程よく一体成型された良い再現度です。因みにこの部分、フォード製、マギルス製も基本は同じ造りですが、パーツ形状等に工場差分程度の相違があって厳密には互換性が無い(実車的には交換可能かもしれないが考証派モデラー的にはNG、という意味で)可能性があります。

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 多分ほとんど何処の媒体も注目しないと思いますが、デフケースが新型に代わっています。このデフケースの変化は以前チラッと書きましたが、この菱形デフケース(と呼ぶことにします)はブリッツA型では前後両方に使用されている模様。マウルティアの場合はもちろん後輪駆動なので、キットに入っている三分割されたこのパーツは起動輪を接続するモノですが、従ってS型ブリッツも大戦後期に生産された分にはこのパーツを使用していた可能性があります。

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 こちらはやっぱり(*^-^)不要パーツとして入っている旧型の、丸型デフケース。白箱ブリッツは元より、イタレリ製もタミヤ製もこのパーツです。菱形デフケースが何時頃登場したのかは私にはまだ良く判りませんが、全くの憶測として書くならば、A型ブリッツの製造開始時に前デフとして採用され、部品供給の効率化の為、後デフも丸型から菱形に置き換えたのではないかなぁ、と想像しています。ただし今の所根拠は全くありません。強いて言うならA型の前デフは例外なく菱形のように思われる、という点くらいです。A型の生産初期に前・菱形+後・丸型を組み合わせた個体が生産されていたのかどうか、同様にマウルティアの生産初期に丸型を使用した個体があったのかどうか、といった当然の疑問も、今の所私には不明です。だって後デフって記録写真じゃめったに拝めないんだもの。ただし、マウルティアのプロトタイプの一つでオペル案の車両は既に菱形を使ってるようなので、丸デフ付きマウルティアの存在は可能性低そうではあります。
 お馴染みのブリッツS型は製造開始39 36年(軍用車としての採用は37年)、確かA型は40年、マウルティアは42年開始なので、この時系列に沿ってパーツの変更が五月雨式に行われたと考えるのが妥当だと思います。キューベルの例と似たような細々とした変更が他にもあるに違いない、と考えざるを得ません。ああ、とっととタンコグラッドでブリッツのハードカバーを出してくれ。一東洋人がネットと出版物だけで調べるには限界があるヨ。

 さて、今回の記事はココで一旦切って、冒頭の思わせぶりなネタ振りは二部構成の後半に続きます。

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コメント

>hideさん

ああっ、「続く」になってるっ!(大笑い)

投稿: かば◎ | 2012年7月16日 (月) 21時11分

最初はそのつもりでは無かったのですが、途中から若干ワザとです(笑)。
流石に引っ張ってもアレなんで明日にはうPしますよ~。

投稿: hide | 2012年7月16日 (月) 22時44分

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