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2011年1月11日 (火)

書評:グランドパワー1月号(No.200)/2月号(No.201)

 グランドパワー誌ってのは、言うまでもなく本邦2大戦車専門誌の一つですが、これの読者は「毎月無条件に買い揃える」派と「興味を引いた記事の掲載号だけ買う」派とでは、どっちの割合が多いんでしょうね?ちなみに私は前者です。この手の資料本は、いつ必要になるか判らないし、いざその時にすぐ手に入る保証もないですし。もっとも、私がビブリオマニアが入ってるせいも多分にあるかもしれませんが。という訳で、こういった書評も随時入れていこうと思います(案外、一番他人の役に立つかもしれませんし)。

 さて旧年最後の2ヶ月分、まとめて出すには理由があります。この二冊、どちらもメイン記事がドイツ戦車ネタながら実に好対照。

2011_0111

 1月号の特集はⅠ号戦車シリーズ。基本的には戦車型のみの解説で、派生車両は指揮戦車のみですが、代わりにC型、F型もとりあげています。ただし重要なのはそこではなく、この記事が“例によって”『PANZER TRACTS』の焼き直し記事だってことです。ここ最近のGP誌でちょくちょくやってますね。著者も毎度おなじみG氏です。私はコレ、一読者として毎回否定的な感想をもっています。そりゃね、トラクツ本が当代ドイツ戦車研究の最前線を行ってる刊行物で、そこらの本屋に気軽に売ってるものでもなく、当然オリジナルは全文英語だから、日本語で内容が気軽に読めれば大歓迎、という方は少なからず居るとは思います。それは判るんだけど、ならば、≪イェンツ著/G氏訳・注釈≫とすべきだ。しかるべきコストもちゃんと支払って。払っていればマルCが入るはずだから、逆にいえば払ってないでしょう、恐らく。あくまで引用文献の扱いなんだよね、ほぼ全文なのに。執筆業、出版業として、それはいかがなものか、と言わずにはおれない。せめてそこから一歩踏み込んだ、著者なりの新しい見解や、発見が加味されていればまだしも、と思う。

 加えて、著者のG氏は、特に写真解説についてあからさまな間違いが目立つ。例えばこの号でもパラパラっと見て、
P41;無線戦車は手前から4両目。まぁこの程度は誤字、数え間違い程度の可愛いものだが、
P51;「シャープでディテールを見るのに最適のショット」とあるが、どこから見ても全面修正写真、真逆のショットである。この著者は、他にも修正写真に関する噴飯モノの解説はよく目にする。
P60下段;どうみてもB型である。
といった風に、借り物の記事で判りやすい間違いを堂々と書かれるので、一層「なんだかなぁ」と思わずにはいられないのだ(っていうか、このレベルの間違いは編集段階で訂正できそうなものだが)。

 ただしこの号でも、メイン以外の記事は見るべきものがある。巻頭のシュトルミさんのカラー口絵は、むしろコッチをメインにしてくれよ、と言いたくなるし、おなじみ寺田光男氏のソフトスキンシリーズもありがたい。今回は特にホルヒ108の電話通信車Kfz.23の後面からのショットが個人的には初見で良かった。これで車内のレイアウトが掴めればタミヤの古いキットを引っ張り出すのに、という気にさせてくれる。朝鮮戦争の機甲戦のシリーズは、個人的には感心が薄いのだが、他にまとまって読める資料というのも無さそうだから感心のある向きには押さえておくべき記事だろう。

 一方2月号はその寺田氏のカラーズ・シリーズ(と勝手に命名)最新号、お題はこれまた判ってそうで判っていないⅣ突。自筆のカラー図もさることながら、必見は後期型稼働式シュルツェンに関する考察でしょう。オリジナルの写真には見覚えがあるけれど、てっきり現地改造の類だと思っていたものが、車体の傾きに合わせて常に必要個所をガードできる新型とはね。クルップグルゾン社の工場内を撮影したショットも同様に初見ではないが、本誌で指摘されるまでこんな面白い情報が隠れているとは全く気が付いていなかった。私は個人的にはシュルツェンって余り好きじゃない(メンドイ、ってのもあるけど、その車輌本来のシルエットが隠れちゃうのがイヤ)のですが、こういう記事は製作意欲を刺激されますね。きっと今年の各地のコンテストで、真っ先にこれをやろうという方が現れるに違いない。欲を言えば、カラー図の基になった写真に関する出典を付けて(ホントは写真そのものを全て併載して欲しい所だけれど)、読者に氏の解釈を吟味する余地を与えて欲しいところではありますが、いずれにせよお金を払う価値のある記事です。ドイツ戦車好きならとりあえず買っとくべき。さらに付け加えるなら、こういう新たな解釈は英文併記、ないしテキストのみ英文でHPからダウンロードの形でも良いから、とにかく海外にも発信するべきだと思います。たかが趣味の世界、されど趣味の世界。立派な考古学的研究考察の一つでしょう。言葉の壁で、優れた著述が埋もれるのはもったいないですよ(その点、アハパンは英文キャプション併記だったのが幸いした。あれが今のAFVモデルシーンを作ったといっても過言ではないと思う)。

 同じ出版社の同じ雑誌で、こうも両極端なのは喜ぶべきか悲しむべきか。でも実際、行きつけの書店でも売れ(残り)方が全然違ってましたしね。とまぁ、こんな感じで、今回は2号纏めてでちょっと長くなってしまいましたが、身銭を切って買った書籍については思う所を正直に記事にしていきたいと思います。

GROUND POWER (グランドパワー) 2011年 01月号 [雑誌] GROUND POWER (グランドパワー) 2011年 01月号 [雑誌]

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コメント

週末模型親父さんのところから流れてきて、開設お祝いのご挨拶もせにゃと思っているうちに、えっ、もう3ヶ月目じゃないですか。

>>「毎月無条件に買い揃える」派と「興味を引いた記事の掲載号だけ買う」派

私は最初は「無条件派」でしたが、現用ONLY号は流石に抜いて、そのうちに好みからちょっと外れるのは戦時中ネタでも抜いて、さらに今では「これは買っておかなきゃイカン!」と強く思う号のみ買うという具合で、ずるずる後退中です。今では年間通してグランパの新刊は2、3冊買うかどうかかも。結局あとから「やっぱり要るんだった」と古本屋で買うときもあるのですが、整理能力に著しく欠けているので、持っていたかどうか判らない場合が多々あって困ります。

思えば、第1次世界大戦軍用機のバイブルwindsock datafileも最初は毎号買ってたんだよなー。

投稿: かば◎ | 2011年1月13日 (木) 19時24分

ああ、かば@さん、コメントありがとうございます!こちらこそ、新年のご挨拶をどのタイミングで書き込もうか迷っている間にもう半月過ぎてしまいました(勤務先が明日特別休業でこの週末も三連休、なもんでぜ~んぜん正月気分が抜けてないんで大目に見てやってください(^-^;)。ウチのブログは三ケ目といっても二ケ月は潜伏したままだったので、今年からが事実上の公開みたいなもんです。アフィリエイトの貼り方も昨日やっと覚えたし。という訳で今後ともよろしくお願いいたします。

>整理能力に著しく欠けているので

私も似たり寄ったりですよ。持ってるのは間違いないけど、まず本そのものが何処に行った?次いでメイン以外の記事は、見覚えがあるけどどの号だっけ?毎度、整理してエクセルでインデックスを作ろうとか思うけど、思うだけでまずそんな暇ないですよねぇ。

>第1次世界大戦軍用機のバイブルwindsock datafileも最初は毎号買ってたんだよなー。

うはぁ、其の辺りは私はかなり疎いので、知ってることといえばバナナっ鼻のビーグル犬の愛機がソッピース・キャメル、位?
wingnutwingsの完成品なんて見ると、ああいうのをゆったりとした気分で酒でも飲みながら作れるような大人になりたい、とかたまに思いますけど、多分もうちょっとジジイならないと無理ですわ(´Д`)。

投稿: hide | 2011年1月13日 (木) 20時26分

私は昔はそれこそ毎号(ドイツ、ロシア車輛特集のみ)購入してましたが
このところドイツ物特集でも買ってないなぁ。
最近の4突特集は良いみたいですね。新しい情報が載っている様で。

自身の資料が飽和状態なのもあるのですが、過去の実例から必ず「別冊」「増補改定版」が出るのも購入を遠のかしているのも事実。
少しの記事を増補して何度同じ物を買わせたらいいのか、と。

日本で唯一の専門書籍で内容も濃いですから応援したいのですが、こうも
重複が重なると、置く場所、整理もままならず、結果無駄な買い物になりかねません。

繰り返しになりますが、せめて別冊にして後から出すのなら、せめて刷新して出す前例を作ってくれれば、購入意欲も湧くかと思いますが。

投稿: dickermax | 2011年1月14日 (金) 19時46分

⇒dickermaxさん

>このところドイツ物特集でも買ってないなぁ。

「ドイツモノ」という時点で、ある意味では上限の定まったネタを繰り返し焼き直さざるを得ませんからねぇ。
それでも考古学的な視点で新発見が出てくれば意味があるのですが。そういう点で、201号の方は最後期のⅣ突のディテールの解説が
判り易くまとめられています。末期のⅣ号ファミリーと一口で言っても、同じような仕様変更が各バリエーション全てに
当てはまるとは限らない、一種の工場差分を車種ごとに考える必要がある事が示唆されていて重箱の隅的に興味深いですよ。

増補改訂版の類は出版社が変わった関係もあるのでしょうけど、確かに私も買ってませんや。
さりげなく更新されてる情報もあるみたいですが、今更感は否めませんよねぇ。
ああ、そういえばソフトスキンの別冊だけは買ってたっけ。
私、PANZER誌の方はここ何年も買わなくなりましたよ。昔はドイツAFVアルバムも毎号楽しみにしていたけれど
さすがにマニア歴が長いと見覚えのある写真の使い回しなのがバレバレですからねぇ。

投稿: hide | 2011年1月15日 (土) 16時32分

初めてコメント致しまする。
ワタクシメは、ズバリ、ロシア(ソ連含)モノしか買わないので御座い。
「戦車マガジン」時代の別冊「T54/55/62」に「T72とソ連戦闘車輌」に「T80/64/72」は、結婚して親父になった今でも大事にしておる。ワタクシメの妻も半分あきれながらも理解はしておる。又、ロシアの海モノに空モノも大好きで御座い。今度「世界の傑作機」のフィドラー、大いに楽しみで御座い。「ロシア愛」のワタクシメの長々とした駄文、返信はブログ主殿は御忙しいでありましょうから、目を通されたら、削除して御座い。

追記 高校卒業して就職間もない頃に買った「写真集 ソ連地上軍」、今見ても凄いで御座い。ブログ主殿、資料は御大事に頑張ってスキー。

投稿: ソ連/ロシア軍ファンの一人 | 2015年3月17日 (火) 19時52分

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